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8月17日(2006年) 皇太子ご一家(当時)がオランダ静養

 2006年のこの日、皇太子ご夫妻(当時)と長女・愛子さまが静養のため、オランダに到着した。

 雅子さまは特に体調がすぐれない状態で主治医の「異なった環境に身を置くことが治療に役立つ」とのすすめもあり、8月31日までの約2週間、オランダ王室の施設に滞在した。これだけの長期間、それも海外での静養は「異例中の異例」(当時の宮内庁幹部)とされた。

 雅子さまは04年7月に適応障害の診断を受けた。皇太子妃という特別な立場による苦労、公私の区別を付けにくい多忙な生活など、皇室になじめないストレスが原因とされた。そばに仕える側近の1人は、外交官として海外生活が長かったキャリアから、海外訪問が容易には実現できない環境もふさぎ込みがちになる一因だと話していた。

 私は06年4月に皇室担当となったが、雅子さまの姿を目にするのは、愛子さまの学習院幼稚園入園式、日本車椅子バスケットボール選手権大会など、機会が限られていた。

 今も印象に残っている取材場面がある。同年5月の学習院幼稚園の遠足で、雅子さまと愛子さまが新宿御苑(東京都新宿区)を訪れた際、報道陣も少し離れた位置から様子を見守っていた。和やかな雰囲気だったが、雅子さまが何かに気づいたのか、側近を呼び寄せた。距離があったのではっきり見えたわけではないが、私には雅子さまが少し厳しい表情のように思えた。

 その側近は慌てた様子で報道陣に近づくと、「もう少し離れて欲しい」と要望した。体調不良から、かねて報道陣の視線が気になっていると聞いていたが、雅子さまの不調を感じた現場だった。

 オランダでの静養は、オラン…

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